テコンドーの競技

護身術(ホシンスル)Rules

競技技法を除くテコンドーの武道技法は、すべて護身のための技法にあたる。
広義の意味において、護身技法は不意に襲われるあらゆる場面で、自身を護る技術動作を意味する。護身技法は、徒手、もしくは武器を携帯し、突然、攻撃してくる相手に対し、何ら準備もなく、不利な条件にある自身の態勢を有利に転換するために用いられる動作であり、大きくは剛法と柔法に区分される。
剛法(打撃技法)は基本修練、トゥル(型)、マッソギ(組手)、ウイリョク(試し割りの他、サンドバックや巻き藁修練等で修得した各種の技であり、柔法はトゥルとホシンスル(広義の意味とは区別される)に含まれる投げ技、間接技、絞め技などの組技一般を指す。 実戦では剛法、柔法が合理的に融合し、護身の威力を発揮するものであり、これらは、互いに不可分な関係にある。 孫子の兵法に基づくテコンドーの護身精神を基本に本協会では以下の優先順位をもって剛法と柔法の選択を定める。

1.相手を傷つけることなく自身を護る方法(以下aと記す)。
【相手の力と心理作用を最大限に利用し理論的に危機状況を回避する。】

2. 相手を大きく傷つけることなく制圧し、自身を護る方法(以下bと記す)。
【柔法を用いて相手を制圧し、危機状況を回避する。】

3. 相手にダメージを与え、自身を護る方法(以下cと記す)。
【剛法を用いて相手の戦意喪失を図り、危機状況を回避する。】

※ 剛法は、その時々の状況に合わせ、合理的に適用させることは言うまでもなく、何よりも相手の力と心理作用を最大限に利用しながら、自身の爆発的な力を瞬間的に生じる相手の急所に対し、自動反射的に集中させることが望ましい。 これは、唯一、実戦を想定した、絶え間ない修練を通してのみ、達成できる。

1. 正面対処法(立った状態)【a.b.cの方法で対処】

手首対処法 (1) 手首を外側からつかまれた場合(左右)
(2) 手首を内側からつかまれた場合(左右)
(3) 両手首を相手両手でつかまれた場合
正面上腕及び頭部 (4) 肘の袖をつかまれた場合(左右)
(5) 肩をつかまれた場合(左右)
(6) 頭髪をつかまれた場合(左右)
正面首及び胴体上部 (7) 首を両手で絞められた場合
(8) 襟をつかまれた場合(左右)
(9) 襟を両手でつかまれた場合
正面腰 (10) ベルトの中央をつかまれた場合(左右)
(11) 腰に抱きつかれた場合(両腕自由)
(12) 両腕の上から腰に抱きつかれた場合(両腕固定)

2. 背面対処法(立った状態)【a.b.cの方法で対処】

背面手首 (1) 背後から手首を外側からつかまれた場合(左右)
(2) 背後から手首を内側からつかまれた場合(左右)
(3) 背後から両手首を両手でつかまれた場合
背面上腕及び頭部 (4) 背後から肘の袖をつかまれた場合(左右)
(5) 背後から肩をつかまれた場合(左右)
(6) 背後から頭髪をつかまれた場合(左右)
背面首及び胴体上部 (7) 背後から首を肘で組まれた場合(左右)
(8) 背後から襟をつかまれた場合(左右)
(9) 羽交い絞めされた場合
背面腰 (10) 背後からベルトの中央をつかまれた場合(左右)
(11) 背後から腰に抱きつかれた場合(両腕自由)
(12) 背後から両腕共々腰に抱きつかれた場合(両腕固定)

※ 攻め手は、両手を用いる時以外、用いる片手と同じ側の足を一歩踏み入れること。

3.短刀対処法

対威嚇行為 (1) 離れた状態から短刀で威嚇された場合
(2) 袖をつかまれて胸元に短刀を突きつけられた場合
(3) 襟をつかまれて胸元に短刀を突きつけられた場合
(4) 背後から背中に短刀を突きつけられた場合
(5) 背後から首を絞められて胸元に短刀を突きつけられた場合
対殺傷行為 (6) 腹部に向け短刀で真っ直ぐに突かれる場合
(7) 上半身に向け短刀を振り下ろされる場合
(8) 上半身に向け短刀を突き上げられる場合
(9) 上半身に向け短刀を外側から振り回される場合
(10) 上半身に向け短刀を内側から振り回される場合

4.長棒対処法

  • (1) 頭部に向け真っ直ぐに突かれる場合
  • (2) 腹部に向け真っ直ぐに突かれる場合
  • (3) 頭部に向け振り下ろされる場合
  • (4) 頭部もしくは股間に向け上下に振ってくる場合
  • (5) 頭部に向け相手右足前構えから振り回される場合
  • (6) 頭部に向け相手左足前構えから振り回される場合
  • (7) 腹部に向け相手右足前構えから振り回される場合
  • (8) 腹部に向け相手左足前構えから振り回される場合
  • (9) 脚に向け相手右足前構えから振り回される場合
  • (10) 脚に向け相手左足前構えから振り回される場合

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