テコンドーの歴史

2001年~2007年History

2001年

7月6日 ITF/イタリア・リミニにて第12回世界テコンドー選手権大会および第13回定期総会開催。総会では次期総裁を崔泓熙総裁の実子である崔重華事務総長に決定。また、崔泓熙総裁は7名の諮問委員選出。

また、次回世界大会および定期総会の場所をポーランド・ワルシャワに決定。

※8月24日金雲龍WTF総裁/IOC委員と張雄(北朝鮮)IOC委員とがITF・WTF共同競技について論議。

ITF/9月1日 崔泓熙総裁が総会に代わる特別執行委員会開催。ITF総裁は以下の問題に対し諮問委員たちの同意を得なければならないことを決定。

・事務総長および連盟参謀の任命

7段以上と各国協会長の除名処分、テコンドー技術および競技規定の補強、または改正

連盟本部の移転

事業および連盟の予算策定

国と国との間で起こるテコンドーの紛糾

委員の任期は6年とし、任期満了後の委員の選出は総会にて行うことを定めた。

ITF/9月中旬 崔重華事務総長がカナダ協会のクリント・ノーマン会長の承認なしに総会を招集。副会長のスタンリー5段を会長に選出した。この行為は越権行為だと激憤した多くの師範たちが崔泓熙総裁に対し崔重華事務総長の解任を要求。また、イタリア総会での次期総裁に関する決議は無効だと主張。

以下 崔泓熙総裁の回顧録より抜粋

「…9月中旬からジュンファの非倫理的で無分別な行為はより酷くなり、露骨になった。

私が任命したティボロ弁護士を通じ、くだらない言い掛かりをつけては私を苦しめた。

彼はガララガ7段に対し2年後は崔重華が総裁になるので、これからは連盟の支持は無視し、崔重華事務総長の支持だけに従えとした点、カナダテコンドー協会の運営に干渉を始め、クリント・ノーマン会長の承認もなしに総会を招集し、自分の心服である副会長スタンリー5段を会長に選出した越権行為などがそれだ。」

ITF/10月25日トロント 崔泓熙総裁は崔重華事務総長の越権行為に対する対策として側近者会議を招集。

2002年

ITF/1月12日ウィーン 崔泓熙総裁は特別総会を開催。加盟国の54カ国(加盟1/3を上回る)の代表者と連盟諮問委員のほか執行委員が参席。

‐崔重華事務総長解任‐

以下 崔泓熙総裁の回顧録より抜粋 

総会前日、ジュンファ(崔重華事務総長)は事務次長のトム(トーマス・マッカラム事務次長)に対し暴行を加え騒動を起こした。このことによって警察から取り調べを受けるなど、はじめから周囲の雰囲気が騒がしくなった。一方、代議員でもないジュンファ側に立つ10余名が各国から集まり、あの高級なヒルトンホテルを宿に定め、しきりに出入りしながら総会に影響力を行使しようとした。しかし、彼らは参席資格も持たない者たちだった。にもかかわらず総会当日、事前に会議室を占拠していたため、警察を呼び全員追い出した。これまでジュンファは事務総長だから参席が可能だった。

私が式場へ歩いて入ろうとしたときだった。みんな起立して挨拶をするのにジュンファだけが私をじっと見つめていた。会議が始まるとジュンファは前に出てこのように主張した。「この会議はすべて北朝鮮から費用が賄われている。この総会は不法な会議だ!明日私が別に会議を設けるので来る者がいれば来てくれ!」と内紛を助長する発言をした。

しかし、誰が彼に従うだろうか、なぜジュンファは現実を直視できず一人で破滅の道を歩んでいるのか私には不憫に見えるだけだった。ジュンファの無分別な発言と行為に対し、参席した代表者たちが全員立ち上がった。彼らはITF事務総長職の即時解任を要求した。「たとえ御子息とはいえ総裁がこの問題を断固として決心しなければなりません。」として四方から見えない圧力を加えてきた。私は涙を呑んで息子の追放を承認するほかなかった。今総会の結果は冷静だった。先の7月にイタリアでの13回総会(リミニ総会)で決定した次期総裁引継ぎに関する件を一切無効とし、私を引き続き総裁として推薦したのだった。彼らは私が終身職として総裁職を全うすることを願った。しかし、私が最後までこれを拒絶すると規約通り任期6年を末期として満場一致で可決させた。しかし、2003年の総会の際、総裁職を辞退し、ただ終身名誉総裁としてテコンドーの統合に専念するという私の根本計画は少しも変わらない。

2002年6月15日ITF崔泓熙総裁が胃癌のためピョンヤンにて死去。享年84歳。

7月14日 韓国の「大韓手搏道会」 黄?/ファン・ギ氏(旧武徳館館長)死去。

WTF/7月東京・代々木にて2002テコンドーワールドカップ開催。

同月 WTF米国・テキサス州オースチンにて第14回世界軍人テコンドー選手権大会開催。

ITF/7月 モンゴル・ウランバートルにて第2回アジアテコンドー選手権大会開催。

8月 IOC委員長が米国IOCよりシドニー・オリンピック勝敗操作疑惑に対する調査依頼を受ける。

同月、釜山にてパク・ミョンチョル朝鮮IOC委員長と張雄(チャン・ウン)IOC委員、そして金雲龍WTF総裁/IOC委員が会談。2004アテネオリンピックに北朝鮮テコンドー選手が参戦する意思を確認。 ITF・WTFルールの折衝を示唆。

また、GAISF(国際競技連盟総連合)会長でもある金雲龍氏は、張雄氏が代表を務める国際武道連盟を年内中に傘下加入させることを明らかにした。

9月 釜山アジア大会開催。大韓テコンドー協会より選抜された演武団がピョンヤンにて公演

同月 北朝鮮ピョンヤンにてITF臨時特別総会が開かれITF新総裁に張雄(チャン・ウン)国際オリンピック委員会/朝鮮体育指導委員会第一副委員長が選出(以後チャン・ウングループとする)。

疑惑説

各国の代表者に対し臨時特別総会の存在を告げないまま「故崔泓熙総裁の100日追悼行事」として召集。事実であれば規約違反となる。

「臨時特別総会」を強行に開き、チェ総裁の「遺言」を根拠に新総裁を選出。多くの朝鮮語の出来ない代表たちを不十分な英語通訳で意図的に誘導したという疑惑がもたれている。

※チャン・ウン氏入場時の拍手を投票の拍手とされ決定されたとする海外師範は実際に存在する)

※「遺言」に立ち会ったトーマス・マッカラム事務総長の談

「チェ総裁は正常な意識で言葉を交わすことが出来ない状態であった。

にもかかわらず英語通訳をする者の言葉があまりにも、覚えたセリフのように明確で信用しがたいものであった。」

10月 朝鮮テコンドー連盟より選抜された演武団がソウルで公演。

11月7日 ITF(チェ・ジュンファ派)2002年1月にウイーンで開かれた特別総会を無効とした崔重華派メンバーがアルゼンチン・ブエノスアイレスにて第14回定期総会開催。崔重華氏が総裁に選出(以後チェ・ジュンファグループ)

2003年

5月 ITF(チャン・ウングループ)頭書ピョンヤンで開催を予定していた第13回世界選手権および第14回定期総会をギリシャのテッサロニキに変更し開催。

6月 ITF(反チャン・ウン派)/ポーランド・ワルシャワにて第13回世界選手権大会および第14回定期総会開催。先に開かれたピョンヤン臨時特別総会を規約違反のため無効だとする加盟国代表らが、定期総会にて総裁選を行う。そして、新総裁にカナダのトラン・トゥリュ・クァン師賢8段が選出される(以下トラングループとする)。

2004年

1月  金雲龍IOC副委員長/WTF総裁/韓国民主党議員/ 

公金横領および不法外貨搬出などの容疑で拘束収監。

事実上テコンドーの統合協議決裂。

関係資料:朝鮮日報2004年5月13日(木)

ソウル中央地検・特捜2部は13日、世界テコンドー連盟や国技院などの公金を流用した容疑で拘束起訴された金雲龍(キム・ウンヨン/国際オリンピック委員会(IOC)副委員長)被告に対し、懲役7年に追徴金7億8800万ウォン余を求刑した。

 検察は同日午前、ソウル中央地裁・刑事合議23部の審理で開かれた結審公判で、「被告は職位を利用し不当な利益を手にし、家や銀行などに76億ウォン余の現金資産を確保するなど、国民を失望させた。また、スポーツ団体を私企業化し、神のような存在として君臨した」とした。

 検察は「被告は自分のすべての行為がテコンドー関係者のためのものだったと正当化しようとした。また、世界IOC委員会らに手紙を送り、自分が不当に処罰を受けていると偽の事実を流し、国の名誉を傷つけた」と指摘した。

6月 WTF/辞任した金雲龍前総裁に代わり慶熙大学総長の趙正源(チョ・ジョンウォン)氏が新総裁に選出。

同月ITF(チャン・ウングループ)マレーシア Representativesにて特別総会開催。

10月 ITF(チェ・ジュンファグループ)韓国テジョン(太田)市郊外のコンベンションセンターにて第13回世界選手権開催および第7回世界青少年大会開催。

※チェ・ジュンファ氏は韓国へ入国しなかったため、大会を欠席。

11月 ITF(トラングループ)第一回テコンドーワールドカップを米フロリダのディズニーランド内で開催。

2005年

6月 ITF(チャン・ウングループ)12日、オーストラリア・クイーンズランド州カラウンドラ市15回定期総会開催。
7月 ITF(トラングループ)ドイツ・ドルトムントにて第14回世界選手権および第15回定期総会開催。
10月 一昨年前からITF本部の占有権をめぐる争いがオーストリア・ウイーンにてトラン氏率いるITFとチャン・ウン氏率いるITFとの間で展開されていたが高等裁判所で決着。トラン氏率いるITF側が法的に承認された。一方チャン・ウン氏側は直ちに上告するも棄却された。
11月 トラン氏率いるITFの傘下組織であるヨーロッパテコンドー連盟(AETF)が、法的に登録され、EUの各国においてITFの名称とロゴの独占的な使用が認められた。

2006年

12月5日 カナダ連邦裁判所においてITF(トラングループ)と崔重華氏およびその関連会社との間で争われていたテコンドーの商標権問題でITF(トラングループ)に勝訴判決。

2007年

6月 カナダ・ケベックシティーにて第15回世界選手権および第16回定期総会開催。

カナダ、アルゼンチン、オーストラリアなどのチェ・ジュンファグループ主要師範らが合流。また、総会ではマイク・モーニングスター師範の復権が承認された。


<< ベトナム戦争終結~2000年